2015/07/22

First Bone とカメオのピアスと桜えび

「First Bone 」という写真集を見た。
写真集を久しくじっくりと見る事がなかったのだけれど、ほぼ日で偶然見た有田泰而という写真家についての記事をみて興味がわき、写真集を手に取った。

弟子である上田義彦さんが焼き直したプリントのトーンが美しく、被写体の息子さんや奥さんとの写真を通した遊び、光の美しさが混ざっている。
私自身は上田義彦さんが出されている写真集「at Home」のトーンが独特で、すこし暗いな、、と感じる事があり、もう少し明るいと見えるような、、みえないようという気持ちが湧いてしまう。
でもそのトーンが統一されている事が、全体の印象にとても重要なことなのだと改めて感じた。
上田さんの光の見え方を体験できる美しい本。
そして「First Bone 」のなかで有田さんの写真の中に上田さんの存在を強く感じた。

有田泰而(1941-2011)さん自身についても初めて知り、その経歴が興味深く、有田さんの妻の雅子さんが清野恵里子さんと共著で出されている本「往復書簡 カメオのピアスと桜えび」も併せて読んだ。

あっという間に読んでしまった。
メールでのやりとりをそのまま載せている。
女性同士のやりとり、大人の、時々少女のような。
お互いの近況を伝えあったり、良いものを勧めたり、送ったり、送られたり。

有田泰而さんが亡くなったあとのメールから始まる。
その悲しみがだんだんやってくるところ、二人が暮らしたアメリカのレッドウッドの森のこと、有田さんの作品のこと、生活のこと。
間があいたり、すぐに返信したりとそういうところも全てひっくるめて読めるので、本当に二人の時間が自分の時間に混ざるよう。
中盤で上田義彦さんと清野恵里子さんが上田さんの展覧会場で会って、有田さんのお話をしたところからどんどんと話が進み、有田さんの「First Bone 」が上田さんが中心となって出版に向かっていくところ、上田さんと雅子さんのメールのやりとりなどがそのまま載っている。
もちろん写真集の出来上がる過程を読むのも楽しかったけれど、髪を染めることを相談したり、この素材はこんな風に工夫して調理したらもっと美味しくなるんだよとか、そんな話ができる二人がとても素敵だなと思った。
大人の暮らしから紡がれた実感のある言葉。
わたしもこんな素敵な大人の女性になろうと思った。

有田さんはアメリカに渡ってからは、ほとんどの時間を絵画や彫刻に費やしていたとの事。
Fruit of the Redwoodという作品の写真を拝見しましたが、色が暖かく、丸みのあるフォルムと木をそのまま見せるような作品でした。

レッドウッドの美しい森の暮らしを想像しました。













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